相手に伝わらないコミュニケーション

人が気持を伝えようとしてうまくいかなかった時、

大きく分けて二つの反応があります。

 

一つは、「諦める。」

もう一つは、「怒る。」

という2つの反応です。

 

諦める方向へ行けば、

「もうわかってくれないんだ…。」と思って、

悲しくなります。

 

「あんなに一生懸命に伝えたのに…。」

分かってくれないと感じているわけですから、

いくら伝えてももうダメなのだろうと判断している状態です。

 

そんな時は、悲しみが湧いてきます。

 

一方で、分かってくれるだろうとまだ期待があるうちは、

「怒り」としてそれが出てきます。

「なんでこんなに言っているのにわからないんだ!」という怒りです。

怒ることで、やっぱりわかって欲しいのです。

 

その為、相手が誰かに何かを伝えたときに、

それが「伝わらなくてさ。」という言葉をいったときに、

どんな感情が出ているかで、どのようなことが心の中で起きているのか

というのがおおよそわかるわけです。

 

悲しみ出ていたら、「きっと伝わらなかったんだな…。」

怒りが出ていたら、「まだ伝わるとあきらめてないんだ。」

「分かって欲しい気持ちが強いんだ。」と理解することができます。

 

もちろん、すべてのケースで当てはまることではないですけれど、

一つの指針にもなりますし、

もう一つとっても大切なことは、

「怒り・悲しみ」の両方のケースでは、

「分かってくれるだろう。」と思っていたのに、

「分かってくれなかった。」わけですから、

「期待はずれ」が起きているということです。

 

伝わると思っていたことが伝わらず、

不憫な思いをしているのです。

 

だからこそ、共感をしたりねぎらったりすることも大切なのです。

 

そして勿論、伝え方がうまくないからそういうことが起きている場合があります。

その場合は、伝え方を改善する取り組みが大切です。

これはコミュニケーション技術のレベルになります。

 

もう一方で、ある人に対して心理的に過剰反応をしてしまう場合は、

心理的なそのパターンに対して再学習をしていくトレーニングが大切です。

心理的に過剰反応とは、特定の方に対して過剰に委縮してしまう、

怒りを感じて怒ってしまうなどです。

 

ただ、この後者の心理的なパターンに関しては

カウンセリングの範疇となりますので、

専門的なトレーニングを受けた方が対応するということになります。

 

おっと、ちょっと突っ込んだ内容になりましたので、

最後にお話を戻しますね。

 

「相手に自分の気持ちが伝わらない時」

僕たちは、怒りと悲しみのどちらかを抱えてしまうことがあり、

その裏には、「分かってくれるだろう。」という期待があり、

いずれのケースでも「期待外れ」が起きているということです。

 

だから、「きちんと伝えたの?」という前に、

不憫な思いをしている目の前の相手を労わり、共感しましょう。

 

沢山伝えてダメだったら、その悲しみに。

分かってくれるはずだ!という強く出ているその怒りに。

 

思いを馳せて聴こう。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。