感情の渦に巻き込まれてしまう方がいます。

話始めただけで、

「もうダメ…。」

と泣いてしまうのです。

 

泣き方は色々とありますし、

泣く理由も人それぞれですが、

悲しみの海に飲み込まれてしまうと、

なぜ自分が泣いているのかや、

何が悲しいかすら分からなくなってしまうことがあるのです。

 

ですから、

そういった時に、

「何が今そんなに思いを溢れさせているのでしょうか?」

と聞いたり、

「何があなたをそんなに悲しませているのでしょうか?」

と聞いたとしても、

その答えは出てきません。

 

ただただ悲しく、

悲しみの海深くに沈んでしまうのです。

 

こういった状態が悪いわけではありませんが、

こういった状態が続くと、

カウンセリングにならないのです。

 

カウンセリングにならないということはどういうことかというと、

クライアントが自分のテーマに取り組める状態でもないですし、

話が普通に出来る状態ではない為、

会話をすることも難しくなってしまうことがあるのです。

 

では、こういった場合どうするのかというと、

まずはペーシングをしながら、

沢山泣いて貰います。

 

感情を止めようとしても無理ですからね。

 

そしてこの時に、

クライアントがきっと感じているだろう悲しみや

苦しみ、辛さ等を援助側がフィードバックしていきます。

 

つまり思いを汲んで、

言葉にして相手に伝えていくのです。

 

ただ泣いて貰っても、

悲しみが強まり、

相手が苦しくなってしまうだけですから、

ペーシングをしながら、

相手を労わりながら、

安心してその気持ちと一緒にいてもらう必要があるのです。

 

そして、

なぜ今述べたように

相手が感じているだろう苦しみや悲しみ等を

汲みつつ言葉にしていくことが大事かというと、

相手は自分の感情の波の中にいますから、

自分の気持ちが見えづらくなっています。

 

そこで、援助側が見て取れたことや、

感じて取れたこと、

聞いて感じたことなどを相手に伝えていくことで、

なぜ自分がそんなに悲しいかなどを、

何が辛かったのかを意識に上げてもらうのです。

 

気持ちには対象があります。

 

つまり、

”何か”があって悲しかったし、

辛かったのです。

 

それを意識してもらうこと(感じてもらう)で、

その感情をより感じやくなりますし、

意識に上げるように出来るようになってきます。

 

すると、自分がなぜそんなに悲しく辛かったのか、

その理由に気づき始め、

ねぎらいによって、

その気持ちの奥にあった思いにも目を向けることができ、

それが癒しへ一歩へとつながっていくのです。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。